焚き火マスター講座 前編

 焚き火マスター講座 前編

 この記事では、焚き火をマスターするためのノウハウを前編・後編に分けて解説します。しっかり学んで実践し焚き火マスターになりましょう!

薪の種類

 薪といってもただの木ではありません。種類が異なれば燃焼も異なるため、目的に応じてさまざまな木材が使用されます。ただしキャンプ場や周辺ですべての種類が手に入るわけではないので、さまざまな木材の種類と特徴を知っておくとよいでしょう。

  • ブナやカシなどの広葉樹はゆっくりと着火しますが、暖かさと熾火(おきび)を長時間提供します
  • リンゴのど果樹もよく燃え、素晴らしい熾火を提供します
  • スギやヒノキ、マツは焚き付けに適していますが、熾火は多くありません
  • シラカバはすぐに火がつき、大きな炎で燃えますが、熾火は多くありません
  • キリやハンノキはすぐに着火しますが、すぐに燃え尽きます
  • ヤナギは焚き火には適していません

一般的な焚き火のタイプ

 もっとも代表的な焚き火のタイプ2つは、ピラミッド型と井桁型です。比較的簡単に作ることができ、さまざまな用途に使用できるため、初心者にも最適な焚き火の構造です。

 ピラミッド型の焚き火は炎が大きくなるのが特徴で、スギやマツなど針葉樹の軽い木材が適しています。針葉樹は燃焼時に爆ぜることがありますので注意が重要です。これは、加熱された樹脂ポケットなどが原因で、爆ぜて飛んでくる焼けた木片によってフリースのセーター、化繊ジャケットなどに穴を開けてしまいます。
 ピラミッド型の火は、大きな炎で燃え、夜にはサイトを照らしてくれますので、キャンプファイヤーとして最適です。暖を取ったり、お湯やスープを沸かしたりするのに使用できます。
 炎からの熱だけを利用し、必ずしも熾火を使用する必要がない場合、木材の差はそれほど重要ではありません。
 一方、井桁型の火で熾火を使用する必要がある場合は、どの種類の木材を使用するかが重要です。井桁型の構造は、熾火を使うのに適しています。長時間燃えるので、ブナ、カシ、ナラなどの硬い木材がこのタイプの火に最適です。井桁型の熾火は、ピラミッド型の火のように燃え広がったり食材に煤を付けにくいので、ベーキングやグリルに最適です。

 キャンプ場に焚き火専用の場所がない場合や直火禁止の場合は焚き火台を使用しましょう。また焚き火の熱から地面を保護するために焚き火専用の難燃シートなどを焚き火台の下に敷いておくことをお勧めします。

 着火する前に、たくさんの薪を集めておくことも重要です。上手に火を起こすには、事前の段取りとコツが重要になります。ピラミッド型、井桁型を問わず、焚き付けは重要な役割を果たします。白樺の皮、乾いた草、針葉樹の葉などは焚き付け材としてよく利用されます。

 ピラミッド型は、燃えやすい焚き付け用の材(枯葉や樹皮)を内側の層にして火口とし、その後に細い棒または木の削りくずや小割り、 3 番目の層は、お互いに寄りかかって直立するよう太めの木片でピラミッドを組みます。組み上がったら、マッチまたは長いライターで火口に火をつけます。火の安定には温度の上昇が必須です。火口の炎が大きくなるまでは風を当てたり、息を吹きかけたりしないでください。火口の炎が安定してきたら燃えやすい焚き付け材や小割りの薪を火口にくべます。焚き付けの炎が広がってきたら、火を燃やし続けるためにさらに多めの小割りと大きな薪を追加していきます。

 小さなピラミッドの焚き火を覚えたら、井桁の中でも同様にピラミッドを組んで焚き付けにできます。

 井桁型の焚き火を作るときは、焚き付け用の小さなピラミッドを井桁の中に作ります。構造はピラミッド型と同じです。細い棒や小割りから始め、次にいくつかの大きな木片から順に組みます。上の写真では小さなピラミッドの火の周りに、井桁の形をした薪を 2 組ずつ積み上げたものです。

 焚き火には適切な酸素供給があることが重要です。焚き火の中央の温度が上がると、上昇気流が発生し、自然に周りから酸素を引き込みますので、木が密集しすぎて酸素の通り道を塞がないようにしてください。焚き火の途中でもし火力が落ちてきた場合は火吹き棒などで強制的に酸素を供給します。吹くときは上からではなく、下や横から吹くと酸素が入ります。


安全面 - 火の取り扱いについて

 焚き火やキャンプファイヤーをするときは、火災を起こさないよう、安全の確保と、火の取り扱いに慣れておくことが重要です。

火を起こすときの一般的な注意事項:

  • 敬意をはらう
  • 人やテントやタープから距離を保つ
  • 消火に必要な水の確保
  • 火から離れる前に必ず消火する

 自然や人への配慮を心がけ、火のそばでは安全な距離を保ってください。植物や可燃物を火気の近くに置かないでください。火をつけるときは、風の強さと風向きに特に注意してください。小さな火がすぐに消えるように、水を用意することは重要です。焚き火から離れるときは必ず火を消してください。火に水を注ぎ、残り火がすべて消えたことを確認します。キャンプ場に水がない場合は、棒などで焚き火をバラす(広げる)ことで消火できます。焚き火を広げることで温度が低下していきますので、そのまま火が消えるまで待ちます。煙が出なくなれば、残り火がほぼなくなったことになります。
 誤って火傷を負った場合は、水(10~20度)でやけどした皮膚を冷やしてください。万一の場合に備えて、緊急連絡できる方法も確保しておいてください。もし誰かの服に火が燃え移ってしまった場合は、慌てず、地面に寝転がり、水、毛布または上着を被せ火を消します。

 後編に続く……。