デンマークの夏至祭『Sankt Hans Aften』とは

デンマークの夏至祭『Sankt Hans Aften』とは

 北欧では夏至の日を祝う文化があります。
 6/23の夏至前夜にはSNSに火を囲んで、歌を歌ったり、踊ったりする様子が投稿されます。この行動は一体何を意味するのでしょう?

 夏至、ミッドサマーと聞いて浮かぶのは、2019年に公開されたアリアスター監督の『ミッドサマー』が記憶に新しいのではないでしょうか。

 1年で最も短い夜である夏至を火で祝う文化は数多くありますが、デンマークのこの夜は、国の歴史上、より暗く迷信的な時代にさかのぼる習慣に彩られています。

 Sankt Hans Aften(聖ヨハネの夕べ)は、キリスト教の伝統によれば、イエスより6ヶ月早く生まれた洗礼者ヨハネにちなんで名づけられたました。デンマークでは12月24日にクリスマスを祝うので、ヨハネの誕生日は6月24日です。誕生日の前夜に焚き火をして祝う習慣は、17世紀までさかのぼります。

 名目上はキリスト教の祝日ですが、異教徒の伝統がベースになっています。伝説によると、夏至は邪悪なものに満ちた夜で、魔女たちがドイツ北部のハルツ山地の最高峰であるブロッケンに向かうといいます。このホウキモロコシの魔女とその共犯者である邪悪なトロールを撃退するために、デンマーク人はキャンプファイヤーを焚いて不気味な力を寄せないようにするのだそうです。

 また、それだけでは不十分な場合は、夏の頂点が来ることそしてデンマーク人が食べて飲んで陽気に過ごす長い夜となることの証として、焚き火自体に追い払われるべき魔女の姿を冠します。

 魔女の焚き火は長い間続いていますが、魔法のハーブを集めて飲むという古い伝統は、今や家族や友人と夕食やお酒を楽しむことにほぼ取って代わりました。
  
 Sankt Hans Aftenで焼かれる魔女は紙や干し草で作られていますが、16世紀と17世紀のデンマークでは、魔女の罪を着せられた本物の男女約1,000人が生きたまま焼かれました。このようにして殺された最後の「魔女」は、魔術の罪に問われ、1693年にファルスター島で処刑されたデンマーク人女性、アンネ・パレスでした。

 今では大きな火を囲み、みんなで歌ったり飲んだりと楽しそうなイベントですが、その背景は現代からは想像できない恐ろしいものでした。
 形は変われど、人々の慣習が続いているのは面白いですね。

 

参照元: https://www.daenemark-reisen.com/en/denmarks-sankt-hans-aften-explains-witches-and-rain/