【アンバサダーレポート】そうだ冬キャンプに行こう 福本玲央

【アンバサダーレポート】そうだ冬キャンプに行こう 福本玲央

 コロナ禍と昨今のキャンプブームが相まって、アクセスの良いキャンプ場やお気に入りの野営スポットにはたくさんの人が集まるようになった。特に春や秋のキャンプするのに心地よい季節には、ゆっくりと過ごすことが今までよりも少しむずかしくなってしまったように感じる。

 そんな話を以前友人と話したことを思い出し、突然だったが「明日どう?」とキャンプの誘いのメールを打ってみた。「今ならゆっくり自然と向き合えそうだね」とOKの返信が来たので、急遽、冬キャンプに行くことが決まった。天気予報を確認。天候は1泊2日ともに快晴、降水確率0%。最高のキャンプ日和の予報に心踊らせ、友人と現地集合で約束をした。

 

周辺の山々はまだ雪をまとっていた

 

 買い出しもシンプルに済ませ、ゆっくりと過ごせるよう万全の準備で現地へ到着。

 青空の中、太陽が顔を出していたのだが、車を降りた瞬間に大切なことを確認し忘れていたことに気が付いた。風の状況を確認していなかったのだ。

 到着した途端に自宅に引き返そうか悩んでしまうほどの強風。受付でキャンプ場のオーナーからは「本当にキャンプするんですか?」と聞かれるほど、強い風が明日朝まで吹き続けるそう。時計を見るとまだ14時。友人と顔を見合わせ、彼から「今日は帰ろうか」と切り出されるのを待っていたのだが、「強風でも楽しめるでしょう」と笑顔で話す友人を見て、僕も笑顔で「楽しもう」と返事をした。

 強風の中の設営はやはり無風に比べ圧倒的にやりづらさはあるものの、車2台を風除けにして無事に設営完了。きちんと設営さえできればテント内はもちろん無風で快適に過ごすことができる。

 この後の気象を確認すると20時ごろまでは風速12mの強風が続き、最低気温はマイナス11℃の予報。この日は買い込んだビールとおでんで暖をとり、外にでることなくテント内で過ごすこととした。

 

強風に煽られながらなんとか設営が完了 使用テントはUtgard

 

 “わざわざ寒い中キャンプに行き、ずっとテント内で過ごすなんてキャンプに行く意味があるのか”、と聞かれたらなんと答えようか、そんなことを考えながらテントで過ごしていたのだが、そんな時だからこそ、安全で快適なテントで過ごす楽しさを噛みしめることができる。

 といろいろな言い訳を考えているいるうちに睡魔に襲われ、まだ夕日の明るさが残る17時ごろには寝てしまった。

 強風の音が止み、無音の世界に違和感があったのか21時ごろに目が覚めた。
 外の様子を見に行くと綺麗な星空が広がっていた。

 

強風に耐え抜いた秘密基地Utgard

 


 

 もし誰かに、“わざわざ寒い中キャンプに行き、しかもずっとテント内で過ごすなんてキャンプに行く意味があるのか”、と聞かれたら、“ほら、寒い中キャンプをしに行き、強風に耐えるとこんなご褒美が待ってるんだよ”と言うことにしようと星空を眺めながら心に誓った。

 


凍った湖面が踊っていた

 

 翌朝は昨日の風が嘘のように無風となった。目の前の湖には靄がかかり、湖畔の水は凍っていた。なんとも幻想的で美しい朝を迎えることができた。

 せっかくキャンプに来たのだから、と昨晩できなかった焚き火で暖をとりながら恒例のホットサンドとコーヒーで贅沢な時間を過ごし、久しぶりに友人との楽しい冬キャンプを過ごすことができた。

 


 

 キャンプに慣れている皆さんの前で堂々と話すことは恥かしいのだが、今回は「天気予報を見るときは必ず風速も確認しなさい」を教訓とし、帰路に着いた。

 

 

文・写真 福本玲央

 

【アンバサダープロフィール】
福本 玲央(ふくもと れお)
フォトグラファー/ディレクター。自身の旅を通じて世界各地でのドキュメンタリーやアウトドア写真/映像の撮影を行う。北極圏やアフリカ、山岳でのキャンプといったアウトドアフィールドのタフな旅からラグジュアリーホテル撮影など“旅”を軸に幅広く活動。旅や冒険の中で出会う、そこに存在する人々や風景の至福の瞬間を収める。環境問題やシャーマニズムなど多岐にわたる分野も自身にとっての“旅”として、世界に溢れる“日常”として存在する事実をできる限りフィルターを通さず、写真/映像を用いて人々へ発信する活動を行う。愛用テントはReisa 4 PU。

HP:https://www.reo.jp
Instagram:https://www.instagram.com/reojp/