自然と近いデンマークの暮らし

自然と近いデンマークの暮らし

5月某日、ノルディスク本社のあるデンマークで2024年に向けたセールスミーティングが開催されました。
ノルディスクジャパンのメンバーも長時間のフライトを乗り越えて、現地入り。
デンマークは一年で最も過ごしやすい初夏、鮮やかな黄色の菜の花と若々しい柔らかい緑が平地を埋め尽くします。

Storiesでは数回に渡り、セールスミーティングの様子や幸福度の高いデンマークという国について考察していきます。
今回は「自然と近いデンマークの暮らし」をテーマにご紹介します。

 

◾️デンマークの自然


デンマークは北ヨーロッパの国であり、北海とバルト海の間に位置しています。
面積は約43,000平方キロメートル(日本の約11分の1)、人口は約580万人(日本の約4.6%)。
デンマークは、豊かな自然とその住民の自然への愛情で知られており、
面北海沿岸には砂浜と松林、内陸には森、湖、湿地があります。
陸のほとんどが平地のため、山がなく滝や流れる川はありません。

 

住民は自然を愛し、大切にする文化が根付いています。
森や湖でハイキングやサイクリングを楽しんだり、ビーチで泳いだりするなど、自然の中で過ごすことを好みます。滞在中に訪れた湖では、隣接するサウナでほてった身体のまま湖に飛び込む老若男女がいました。平日ど真ん中の終業後としては、最高の過ごし方ですよね。

 

デンマークの人々は、朝早くから働く人も多く、夕方4時頃には自由な時間を過ごす大人が多く見受けられます。

 

◾️自然への信仰

 

デンマークの自然信仰は、国の歴史の中で何世紀にもわたって進化してきました。
信仰の最も初期の形態としては、自然の神々を崇拝する古代北欧人によって実践されており、これらの神々は、森、湖、川、動物など、自然のさまざまな側面に関連付けられていました。

ノルディスクテントの名前の由来ともなっている、北欧神話もユグドラシルという大木を舞台に繰り広げられています。

中世になると、キリスト教がデンマークに導入されました。
キリスト教は自然信仰と矛盾する一神教であったため、その導入をきっかけに自然信仰は衰退し始めましたが、完全には消滅せず、民間伝承や迷信の形で生き残りました。

19世紀になると、デンマークでは自然保護の動きが始まります
人々は、自然を保護することが国の経済的および社会的利益にとって重要であることを認識し始め、1869年、デンマーク政府は最初の国立公園を設立しました。
それ以来、デンマークにはさらに13の国立公園が設立されています。

 

 

今日、デンマークは自然を保護する上で世界をリードする国の一つです。
森林面積の割合が最も高い国の1つであり、再生可能エネルギー源への依存度も高く、温室効果ガスの排出量を削減することに成功している国の1つです。

デンマークの自然への愛情は、国の文化の重要な部分です。
人々は、自然を大切にし、自然を保護することに誇りを持っています。

 

◾️自然享受権のある国

デンマークには自然享受権というものがあります。
自然享受権は、デンマークの豊かな自然をすべての人が平等に楽しむことができるようにするために生まれました。
この権利によって、人々は森や湖でハイキングやサイクリングを楽しんだり、ビーチで泳いだり、きのこやベリーを採ったり、釣りをしたりすることができます。

 

自然享受権は、19世紀にデンマークの自然保護の父と言われるN.F.S.Grundtvigによって提唱されました。
Grundtvigは、すべての人が自然の恩恵を受けることができるべきだと信じており、、自然享受権を制定することで、人々が自然を大切にし、自然を保護することにつながると信じていました。
このGrundtvigはデンマーク史において最も影響力の大きかった人物の一人で、その哲学は19世紀後半、デンマークの新たなナショナリズムを形成するに際して大きな刺激を与えたと言われています。

 

自然享受権は、1992年にデンマーク議会で可決され、この権利は、多くの人々に歓迎されました。
この権利は、デンマークの豊かな自然を次の世代に引き継ぐためにも重要です。

 

◾️リアルな暮らし

デンマークは自然と暮らしとの距離がとても近いです。

滞在中に、2軒の家を訪問させてもらったのですが、大きな窓の外には公園かと思うよな、きれいに整えられた芝生が広がっていました。
そのうち一軒の目の前には森林が広がっており、鹿が現れることもあると言います。
もう一軒は、川に隣接しており、大きな柳の木の下にあるダイニングテラスで夕食をいただきました。
他にも鶏小屋や、きれいに区画された手作りのお花畑など、暮らしの中に愛情いっぱい自然を取り入れる姿が見てとれました。

 

どちらのお家も、左右には同じようなお家が隣接した住宅街なのですが、それぞれの家の裏庭にはプライベートな自然が十分に確保されています。
都市部エリアであるにも関わらず、自然を感じられるスペースが各家庭に確保されている様子から、計画的に自然が取り込まれていることがわかります。
路上広告に対しては法律で規制されており、電車の駅や街中でも落ち着いた景観が保たれています。

 

(玄関前で待機している苗)

 

ノルディスクジャパンのオフィスは東京都港区にあるので、この記事を書いている私も都市部に住んでいる一人です。
自然が大好きなので、家の窓際にはたくさんの植物が並んでおり、都市生活と自然享受の両立は諦めていたのですが、デンマークの都市部の暮らしを目の当たりにし、衝撃を受けました。

 

 

東京のみならず、先進国の都市生活者は、日々、広告やアナウンスなど目や耳から意図せずとも情報が降りかかるような環境で暮らしています。
それはビジネスを発展させる上で、自然に出来上がった環境なのかもしれません。
しかし、人々が幸せに生きるためには、なるべく環境によるストレスを減らし、心地よく過ごせるような時間を日常に取り入れることも必要です。
それがデンマーク人のもつHyggeの文化であり、世界一幸福な国につながる鍵なのでしょう。